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ぼここ十五年間にわたって安定に推移している。神戸港は、アジアと北米を結ぶ重要な国際物流のトランシップ港としての地位を確保すると共に、世界経済に対して、国際物流の効

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率的なネットワークを提供してきたのである。
大震災による神戸港の打撃と日本経済への影響
周知のように、阪神・淡路大震災は、一瞬のうちに、被災地に大きな被害をもたらした。その影響を、建築物等のストックと経済活動を示すフローについてみてみよう。
大震災が、建築物等のストックに与えた直接的被害額は、兵庫県の概算で九兆九三〇〇億円すなわち約十兆円であり、これは、兵庫県の年間予約の五年分にあたる。この内、経済活動に直接関係する、店舗・事務所・工場等の建築物、設備、在庫等のストックの被害額は、産業復興会議の推計では、二兆五四○○億円である。これとは別に、神戸港に限った公共的インフラ関係の被害額は、それを災害復旧費用で代替すれば、五七二四億円になる。
一方、大震災による経済活動の停滞がもたらしたフローの損失額は、産業復興会議の推定では、約二兆六〇〇〇億円である。運輸省の速報的推計では、この内の半分以上に当たる一兆六〇〇〇億円は、神戸港の機能停止による神戸市とその周辺の事業所のフローの損害である。いかに神戸の経済が神戸港の活動に大きく依存していたかが分かるであろう。そのほか、平常時には神戸港で取り扱われていたが、震災後、他港で取り扱われたことによるコンテナ貨物の国内輸送コストの被害額は、一九九五年度だけで、七四〇億円に上り、さらに、この輸送コストの増加が産業関連を通じて金産業に与えた影響は、同年度で、三二〇〇億円程度であると推計されている。
したがって、神戸港の被った直接的なハード面の被害は、約五七○○億円であるが、そのために神戸市を含む日本の経済活動が被った間接的な被害額は、一九九五年度だけで、二兆円にも達していると見られる。
この様に、神戸港の震災による被害の大きさを通じて、海陸のノード(結節点)である港湾が来たす経済活動の役割とその意義を学ぶことができる。とりわけ、神戸港の直接的な被害が、その四倍にも当たる波及的な間接的被害をもたらしたことに注目する必要があろう。それは、神戸港が、日本の同際物流のゲートウェーとして、同際物流と同内物流のノードとして機能してきた状況を良く説明している。
神戸港の復興状況
神戸港の復旧工事は、順調に、かつ急ピッチで進んでいる。復旧工事は、緊急復旧・応急復旧・本格復旧の三段階に分けて進められ、すでに緊急復旧、応急復旧の段階を終えて、

 

 

 

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